私は20代のころ、借金が200万円もありました。

最初に消費者金融から借りたのは、数万円です。

その数万円から始まった借金をすべて返し終わったのは、35〜36歳頃でした。

10年前後、カードローンがある状態で生活していたことになります。

ギャンブルで一気に使ったわけでも、高価なものを何個も買ったわけでもありません。

始まりは、クレジットカードの引き落とし日に銀行口座のお金が足りなくなったことでした。

軽い気持ちで借りた数万円が始まり

一人暮らしを始めたのは24歳頃でした。

当時は年収200万円台。家賃は6万円台で、毎月の生活にはほとんど余裕がありませんでした。

飲み会に行くこともあれば、クレジットカードで買い物をすることもありました。

ただ、当時は毎月いくら使っているのかをきちんと把握していませんでした。

クレジットカードの請求額を見てから、

「今月こんなに払うのか」

と気づくような生活です。

ある月、引き落としに必要なお金が銀行口座にありませんでした。

これはまずい。

どうすれば支払えるのか必死に調べて、アコムから数万円を借りました。

消費者金融からお金を借りることにも抵抗はありました。

ただ、それ以上に、

「このままだと支払えない」

という焦りの方が大きかったです。

借りたことで、その月の支払いは何とかなりました。

ひとまず払えると分かって、ホッとしました。

このときは、高い金利で借りたお金がその後何年も自分の生活に残ることになるとは考えていませんでした。

「今月を何とかする」

それだけで精いっぱいでした。

数万円が少しずつ増えていった

借金が約200万円になった原因になるような、大きな買い物が一つあったわけではありません。

毎月の生活費が足りない。

クレジットカードの請求が思ったより多い。

たまに飲みに行く。

家具や家電が欲しくなる。

そうした支出が少しずつ積み重なっていきました。

そもそも収入が低かったので、かなり気をつけて生活しないと毎月赤字になっていました。

もっときっちり家計を管理できていれば、借金をせずに済んだのかもしれません。

ただ、当時の自分にはそこまでうまくお金を管理する能力がありませんでした。

食費などはすでにかなり抑えていました。

スーパーで美味しそうなものを見ても我慢することが多く、クリスマスにホールのケーキを買っている人たちを羨ましく見ていました。

自分も買いたいと思っても、当時はそこにお金を使う余裕がありませんでした。

借金を減らしたくて、土日も働きました。

夏休みに短期のアルバイトをしたこともあります。

平日に仕事をして、休日にも働く。

それでも借金はなかなか減りませんでした。

毎月数万円の返済で、さらに生活がカツカツに

カードローンを使い始めると、毎月の生活はさらに苦しくなりました。

手取り16万円ほどだった時期には、そこから家賃、食費、光熱費、携帯代、交通費などを払います。

そこにカードローンの返済が毎月数万円加わりました。

借りる前は16万円の給料で生活すればよかったのに、借りたあとは同じ16万円から生活費に加えて借金も返さなければなりません。

今月2万円返しても、その2万円がなくなったことで月末の生活費が足りなくなれば、またカードローンから引き出します。

返済したはずなのに、また借りる。

クレジットカードの請求が多い月や、まとまった出費があった月には、逆に借金が増えることもありました。

お金が足りないから借りたのに、借りたことで翌月からさらに使えるお金が減る。

完全に負のサイクルに入っていました。

返済中でも、家具やPCなどを買っていた

だからといって、

「借金があるのだから、何も買わずに返済だけしよう」

と割り切れたわけでもありませんでした。

毎月の返済はしていたので、

「このくらいなら買っても大丈夫じゃないか」

と思ってしまいます。

デスクチェアなど、数万円する家具を買うこともありました。

転職に活かすためにPCを買ったり、仕事の勉強にもお金を使っていました。

仕事のために使ったお金については、今振り返っても全部が無駄だったとは思っていません。

ただ、その分だけ返済が遅れたのは間違いありません。

家賃を下げるために引っ越したら、逆にお金がかかった

当時住んでいたのは軽量鉄骨のアパートでした。

冬になるとかなり寒く、もっと住みやすい部屋に引っ越したいとよく考えていました。

でも、お金はありません。

できれば今より家賃も下げたい。

鉄筋コンクリート造で、今より安い物件はないかと探していました。

すると近所に、家賃が5万円台の古いマンションが見つかりました。

「これなら今より暖かそうだし、毎月の家賃も少し下げられる」

と思って引っ越しました。

当時の自分としては、かなり良い物件を見つけたつもりでした。

ところが、1階で古いマンションだったこともあってか、ゴキブリがよく出ました。

引っ越して初めて寝た日の夜には、顔の上にゴキブリが乗ってきました。

「この家、大丈夫か」

と思いました。

しかも、日当たりもあまり良くありませんでした。

部屋が暗いと、家にいてもなんとなく気分が晴れません。

当時は仕事やお金のことでも余裕がなかったので、日当たりの悪さも精神的にはあまり良くなかったです。

この経験があってから、家を探すときは日当たりをかなり気にするようになりました。

家賃自体は数千円安くなりましたが、引っ越しにはまとまったお金がかかります。

今振り返ると、多少寒くても最初の部屋にもう少し住み続けた方が、借金は早く返せたのかもしれません。

当時は、

「毎月の家賃を数千円下げたい」

というところばかり見ていました。

引っ越し費用まで含めて、本当に得なのか。

そこまでは考えられていませんでした。

高い金利を何とかしたくて、銀行カードローンへ借り換え

このマンションに住んでいた頃、消費者金融の金利も気になるようになりました。

当時のアコムの金利は、年23〜24%くらいだったと記憶しています。

毎月返済しているのに、なかなか元金が減りません。

明細を見ると、利息として取られている金額もかなりあります。

「これ、いつになったら返し終わるんだろう」

と思うようになりました。

ちょうどグレーゾーン金利がニュースになっていた頃でもあり、

「もっと低い金利で借りられないのか」

と調べ始めました。

そんなとき、電車の広告で生活費にも使える低金利のローンを見つけました。

金利は2%くらいだった記憶があります。

「これに借り換えられたら、一気にラクになる」

と期待して審査に申し込みました。

結果はNGでした。

かなり期待していたので、がっかりしました。

でも、ここで諦めても今の金利が下がるわけではありません。

毎月返してもなかなか減らない状態から抜けたくて、その後も低い金利で借りられるところを探しました。

そこで見つけたのが、みずほ銀行のカードローンでした。

こちらは審査に通りました。

金利は年14%くらいだったと記憶しています。

23〜24%くらいで借りていた自分にとって、14%でもかなり違います。

「これで少しはラクになる」

とホッとしました。

低金利ローンの審査に落ちたあとだったので、ようやく一つ前に進めた気がしました。

借金の大半をみずほ銀行へ借り換え、残っていたアコムの借入も、その後ボーナスが出たタイミングで返済しました。

これで20%を超える金利で借り続ける状態からは抜けられました。

でも、借金そのものがなくなったわけではありません。

金利を下げても、カードローンがある生活はまだ何年も続きました。

20代後半、いつの間にか借金は約200万円に

この頃、家電エコポイント制度を使って8万円くらいの液晶テレビも買いました。

借金があるのに、です。

昔から家電量販店へ行って最新家電を見るのが好きでした。

テレビやパソコンを見ていると欲しくなります。

カードローンの返済はしているし、まだ借りられる枠もある。

そんな状態が長く続いていたので、借金があること自体にもかなり慣れていました。

この物欲は、借金を完済して、ある程度貯金ができるようになるまで結構続きました。

テレビを買って数カ月後、東日本大震災が起きました。

地震のあと、

「買ったばかりのテレビ、倒れていないかな」

と焦ったのを覚えています。

幸い、テレビは無事でした。

借金の方は、いつの間にか約200万円まで増えていました。

100万円になったとき。

150万円になったとき。

200万円になったとき。

その瞬間のことは、ほとんど覚えていません。

20代後半から30歳になる少し前くらいには、借入残高は約200万円になっていたと思います。

200万円という数字だけを見ると、かなり大きな借金です。

でも当時の自分が毎日、

「200万円も借金がある。どうしよう」

と考えていたわけではありません。

気にしていたのは、借金の総額より毎月の返済でした。

毎月2〜3万円を返済して、その月を乗り切る。

それが普通になっていました。

今振り返ると、この頃にはかなり感覚が麻痺していました。

約200万円の借金があるというより、

「このATMからは最大200万円くらいまで引き出せる」

ような感覚になっていました。

もちろん、本当は自分のお金ではありません。

でも長く使っていると、借入枠が銀行口座の残高のように見えてきます。

「200万円をどうやってゼロにするか」ではなく、「今月の返済をどうするか」を考えていました。

毎月の生活の延長線上で、いつの間にかそこまで来ていました。

仕事が決まらず、このままでは支払いができないと思って実家へ

東日本大震災後、体調を崩して当時勤めていた会社を退職しました。

転職活動を始めましたが、書類選考になかなか通りません。

仕事はない。

貯金もほとんどない。

借金は約200万円。

それでも家賃、クレジットカード、カードローンの支払いは毎月やってきます。

仕事が決まらない期間が長くなるほど、

「このままだと本当に払えなくなる」

という不安が大きくなっていきました。

ヒルナンデスを見ながら、この先どうなるのか考えていた

仕事がないので、平日の昼間も家にいます。

かといって、お金がないのでどこかへ遊びに行くこともできません。

家でテレビを見るくらいしかやることがありませんでした。

毎日のように、少し前に買った液晶テレビでヒルナンデスを見ていました。

番組の中では楽しそうに食事をしたり、買い物をしたりしています。

一方の自分は仕事が決まらず、貯金もほとんどなく、借金があります。

「これからどうなるんだろう」

と考えながら見ていました。

今考えれば、家にこもってテレビばかり見ていないで散歩でもすればよかったです。

お金もかかりません。

でも当時は、転職活動をしながら家でテレビを見て過ごしていました。

今でもヒルナンデスを積極的に見たいとは思いません。

オープニング曲を聞くと、この頃のことを思い出します。

ちょっとしたトラウマになっています。

それまでは、お金が足りなくなればカードローンから借りて何とかしてきました。

でも、仕事を辞めて収入がなくなると、それもいつまでも続けられません。

カードローンから借りれば、その月の家賃やクレジットカード代は払えます。

翌月も収入がなければ、さらに借りることになります。

このまま仕事が決まらなければ、一人暮らしを続けるのは無理だと考えました。

そこで実家へ戻ることにしました。29歳になる年です。

実家が神奈川で、東京からそれほど離れていなかったのは運が良かったです。

そして、実家へ戻ることが決まったくらいのタイミングで、ハローワーク経由で応募した会社から内定が出ました。

かなりギリギリでした。

あと少し仕事が決まらなければ、カードローンの返済も続けられなくなっていたかもしれません。

内定が出ても、一人暮らしを続けることにはせず、そのまま実家へ戻りました。

実家に戻っても、借金はほとんど減らなかった

実家に戻れば家賃がなくなるので、少しは借金も減らせると思っていました。

ところが、最初の半年ほど働いたハローワーク経由の会社は、給料が高くありませんでした。

実家に住んでいても、親に渡せたのは月2万円くらいです。

カードローンも必要最低限の返済を続けるだけで、借金はほとんど減りませんでした。

しかも、自分としてはこの会社にずっといるつもりもありませんでした。

もっと収入を上げるために、次の転職を考えていました。

そのためにPCを買ったり、勉強にもお金を使いました。

借金があるのだから、そのお金も返済に回した方が早く減ります。

でも、今の低い給料のまま節約だけを続けても、ずっと同じ生活が続く気もしていました。

その後、年収400万円ほどの会社への転職が決まりました。

ただ、すぐに借金返済を加速できたわけではありません。

もう一度一人暮らしをするため、実家にいる残りの半年ほどは引っ越し資金を貯めました。

入社した時期の関係で、最初はボーナスもなかったと記憶しています。

約200万円あった借金を大きく減らせないまま、再び一人暮らしを始めました。

年収400万円になっても、借金はなかなか減らなかった

割引の刺身を気軽に買えるようになった

20代の頃は、スーパーで美味しそうなものが売っていても、

「これは高いからやめておこう」

と諦めることがよくありました。

それが年収400万円になると、割引になった刺身を見て、

「これくらいなら買ってもいいか」

と思えるようになりました。

3割引や半額なら、以前ほど悩まず買えます。

一回なら数百円です。

でも、今まで我慢していた反動もあって、こういう買い物の頻度が増えました。

外で美味しいものを食べることも増えました。

食べ歩きは、そのまま今の趣味にもなっています。

20代にはクリスマスにホールのケーキを買っている人たちを羨ましく見ていました。

ようやく自分も、お金を使うことを楽しめるようになりました。

収入が増えた分を全部借金返済に回せば、もっと早く返せたと思います。

でも当時は、

「やっと少し普通にお金を使えるようになった」

という気持ちの方が強かったです。

スポーツ観戦や家具、家電にもお金を使うようになった

食べ物だけではありません。

スポーツ観戦に行ったり、家具や家電を買ったりすることも増えました。

ドラム式洗濯機や食洗機も買いました。

当時は、

「家事の時間を減らせば、その分仕事を頑張れる」

という理由で買っていました。

言い訳だった部分もありますが、実際に家事はかなりラクになりました。

一方で、収入を上げるための勉強にもお金を使っていました。

PCを買ったり、Webスクールに通ったりしていました。

こうした勉強は、その後の転職で評価されたこともあります。

今振り返っても、「全部我慢して借金返済だけしておけばよかった」

とは簡単に言えません。

ただ、こうした支出もあって、収入が増えてからも借金の返済には時間がかかりました。

毎月返済できているから大丈夫だと思っていた

年収400万円を超えた頃から、借金に対する危機感も少し薄れていました。

毎月の返済はできていました。

収入も少しずつ増えていました。

20代の頃のように、

「来月の家賃を払えるだろうか」

というところまで追い詰められることも減りました。

だから、

「借金はあるけど、まあ大丈夫だろう」

と思っていました。

今客観的に見ると、全然大丈夫ではありません。

それでも当時は、借金が残っていることより、以前より生活が良くなっていることの方を感じていました。

正月に甥や姪へお年玉を堂々と渡せるようになったのも嬉しかったです。

自分のお金のことで精いっぱいだった頃から、少しずつ普通の生活に近づいている感覚がありました。

30代半ば、ようやく借金を本気で返そうと思った

年収が500万円台になると、さらに生活に余裕を感じるようになりました。

それでも貯金はほとんどなく、カードローンはまだ残っていました。

30代半ばになり、40代も少しずつ見えてきました。

「さすがにこのままではまずい」

と感じました。

当時の自分は、一生結婚できないだろうと思っていました。

結婚する予定ができたから借金を返そうと思ったわけではありません。

この先も一人で生きていくなら、せめて借金くらいはなくして、ある程度の貯金を持っておかないとまずい。

ここから、返済を優先するようになりました。

年収700万円を超え、ボーナスのたびに返済額を増やした

その後も転職などで収入は上がっていきました。

年収700万円くらいになる頃には、ボーナスが入るたびにカードローンへまとまった金額を返すようになりました。

毎月の返済も続けながら、ボーナスでは多めに返す。

そうすると、長い間ほとんど動かなかった残高が目に見えて減り始めました。

返済してもまた借りていた20代とは違います。

今度は返した分だけ、残高がきちんと減っていきました。

100万円を切る。

さらに減る。

ようやく、

「本当に全部返せるところまで来た」

と思えるようになりました。

最終的に年収が700〜800万円くらいになった頃、残っていた借金は数十万円になっていました。

ATMで最後の数十万円を全額返済

最後はATMへ行って、残っていた数十万円をまとめて返済しました。

全額返済したとき、

「終わった」

と思いました。

長い間ずっと残っていたカードローンの残高がゼロになりました。

かなり気持ちよかったです。

でも、嬉しいだけではありませんでした。

「この10年、何をしていたんだろう」

とも思いました。

20代半ばに数万円を借りたところから始まって、気づけば約200万円。

土日も働いた。

仕事を辞めて次が決まらず、実家へ戻った。

収入が上がってからも、欲しいものを買ったり、美味しいものを食べたりして、なかなか返済が進みませんでした。

もっと早く返せたんじゃないか。

利息にいくら払ったんだろう。

稼いだお金をずいぶんもったいなく使ったな。

後悔もありました。

情けないとも思いました。

ATMの前で、大学を中退してからここまでのことをいろいろ思い出しました。

大学を辞めて、アルバイトをして、年収200万円台で一人暮らしをして、借金をして、転職を繰り返して。

ずいぶん遠回りしました。

一方で、

「よく心が折れずに、ここまでギリギリ踏ん張ったな」

という気持ちもありました。

借金を作ったのも、返済をここまで長引かせたのも自分です。

だから、完済したからといって胸を張れるような話ではありません。

それでも、大学を中退してからうまくいかないことが多かった自分にとって、借金がゼロになったことはとても大きかったです。

今この記事を書きながら当時のことを思い出すと、少し泣けてきます。

借金を完済し、ようやく貯金ができるように

借金を完済すると、ボーナスが入ってもカードローンへ返す必要がなくなりました。

それまではボーナスが入ると、

「これでいくら返そう」

と考えていました。

完済後は、次のボーナスがほぼそのまま銀行口座に残りました。

残高を見たときは嬉しかったです。

「借金がないと、こんなにお金が残るんだ」

と思いました。

収入が増えていたこともありますが、借金をしていた頃の生活感覚も残っていました。

そこにカードローンの返済がなくなったことで、ようやく貯金もできるようになりました。

一方で、

「今まで稼いできたお金も、借金がなければもっと残っていたんだろうな」

とも思いました。

20代の頃は「あといくら借りられるか」を見ていたのに、この頃から「いくら残っているか」を見るようになりました。

その後は貯金だけでなく、NISAなどを使って資産形成もするようになりました。

20代で約200万円の借金があった自分が、今は資産形成をしているのだから、お金の使い方はずいぶん変わったと思います。